ストレスの多い現代社会では、ストレスを軽減させる食品が話題となることが多くあります。チョコレートもストレスの軽減に有効と言われている食品のひとつです。本記事では、チョコレートとストレスの関係、チョコレートとBDNFについてなどを紹介します。
ストレスはさまざまな心身病の原因です。ストレスは、自律神経系、内分泌系、免疫系に影響を及ぼします。ストレスが長期間蓄積すると、自律神経、内分泌系、免疫系も長期間影響されます。そのため、長期間のストレスは器質的もしくは機能的な障害の原因となり、心身病へと悪化していくでしょう。
心身病には、頭痛や高血圧、高血糖から狭心症、糖尿病、気管支喘息などさまざまな病状があります。過敏性腸症候群も心身病の中の1つです。便通異常の下痢や便秘、吐気や腹痛、腹部の張りなどの消化器症状が見られます。また、甲状腺機能亢進症では、食欲亢進や体重減少、動悸やイライラ感などが見られるでしょう
心身病の治療法は、薬物治療、生活習慣の見直し、精神療法などを行いストレス軽減を目指します。
ストレスによる心理的影響は、うつ、不安、不眠などがあります。心理的なものは外傷などと違いわかりにくいため、気づいた頃には悪化している可能性もあります。そのため心理的影響にはとくに注意が必要です。
・うつ
ストレスが多い現代で「うつ」は、身近なものへと変化しています。「何をしていても楽しく感じられない」「ご飯が美味しくない」「眠れない」「自分が生きていることに心苦しさを感じる」などの状態がうつ状態です。精神的疲労だけでなく、肉体的疲労からもストレスを感じ、うつになることはあります。
自分を見つめ直して、うつ状態に気づくことも大切ですが、自分で気づくのは難しい場合もあります。家族や友人などの周りの意見を聞いてみるのも良いでしょう。
・不安
気分がソワソワして落ち着かなかったり、漠然とした恐怖に襲われたりして一人でいることが難しくなることがあります。動悸に発作、息苦しさや筋肉の緊張などを伴うことがあり、このままでは「おかしくなってしまう」「病気になってしまう」などの恐怖を抱き、どうしようもなくなる場合があります。女性の場合はとくに、生理前や更年期などのホルモンのバランスが不安定になりやすい時に、陥りやすい傾向です。
・不眠
ストレスから「なかなか眠れない」「途中で何度も目が覚めてしまう」「早朝に目が覚める」「熟睡できない」などの症状に悩まされる場合があります。正常な睡眠が取れていないため、日中に疲労を感じてしまったり、「今日も寝られなかったらどうしよう」と寝られないことへの恐怖心に襲われてしまったりと、緊張してより眠れなくなってしまうこともあります。
無理に寝ようとはせず、お風呂にゆっくり入ったり、暖かいドリンクを飲んだりし、まずはリラックスすることを心がけましょう。長期にわたり不眠が続く場合は、医者に相談しましょう。
行動的影響には、暴力やアルコール、ギャンブル・買い物などの依存症があります。発症してしまうと、夫婦関係や親子関係などの家族の関係性に大きな問題が発生してしまいます。
・暴力
ストレスの発散方法が、暴力になってしまう場合があります。飲酒やギャンブルなどの他の原因も重なり、夫婦間や親子間にも影響を与えてしまうことは珍しくありません。
暴力を止められない場合は、信頼できる人に相談しましょう。そして暴力を振るわれている方は、我慢し続けるのではなく警察を呼んだり、安心できる場所に避難しましょう。まずは自分の身の安全確保が大切です。
・アルコール依存症
ストレス解消法として、飲酒する方は多い傾向です。楽しく節度のある飲酒する場合は、ストレス解消や気分転換などによい方法です。しかし、自制が効かなくなるほどの飲酒量になってしまうと、心身や周りの人にもさまざまな問題が発生してきます。
朝から酔いつぶれるまで飲酒を続けてしまったり、お酒が原因で人間関係が崩壊したりと、日常生活に支障が出ます。またアルコールが体から抜けると「イライラする」「手が震える」などの離脱症状が出る場合は、アルコール依存症になっている可能性が高いでしょう。1度アルコール依存症になってしまうと自分の意思とは関係なく、飲みたい衝動に襲われてしまいます。それにより家族関係や仕事関係がうまくいかず失ってしまう可能性も考えられます。
飲酒は適正量を守ることが大切ですが、飲酒が抑えられない時は一度病院に相談すると良いでしょう。
・ギャンブル・買い物依存症
ストレスはギャンブルや買い物の依存症を引き起こす場合があります。ギャンブルで勝った際に生じる高揚感や陶酔感は、一時的にストレスを解消してくれているような感覚に陥ります。買った際の感覚が忘れられず、「やらずにはいられない」状態となるのです。
大人買いといった買い物は、自分の生活範囲で行った場合は良いストレス解消法となるでしょう。しかし、いらないものを買ってしまったり、自分の生活範囲以上の買い物を行ってしまったりすると、借金やカード破産などに陥る可能性があります。
チョコレートにはストレスを軽減する効果があります。チョコレートに含まれるカフェインやカカオポリフェノールなどのさまざまな成分の働きが、ストレスを軽減に有効です。
・カフェイン
カフェインにはリラックス効果が期待できます。日本栄養・食糧学会誌が発表したストレス状態のラットにカフェインを投与した場合、ストレス反応が軽減した研究結果があります。
・テオブロミン
テオブロミンはチョコレートの苦味成分であり、カフェインと似た働きを持っています。テオブロミーは、幸せホルモンと呼ばれる気分も安定させる脳内物質のセロトニンに働きかけることにより、リラックスさせる成分です。
・カカオポリフェノール
カカオポリフェノールは、チョコレートに含まれる代表的なポリフェノールです。ポリフェノールには、抗酸化作用があるため、精神の安定やリラックス、疲労回復、動脈硬化予防などの効果が期待できます。チョコレートに含まれるカカオの量が多いほど、カカオポリフェノールの含有量も多くなるため、チョコレートの苦味は強く感じます。
・食物繊維
チョコレートの原材料であるカカオ豆には、食物繊維のグリシンが豊富に含まれています。食物繊維には、腸内環境を整え便通を良くする効果があります。ストレスや疲労が原因で腸内環境は乱れてしまうため、腸内環境を整えることでストレスも軽減できるでしょう。
チョコレートと脳細胞の関係について研究が行われた結果、チョコレートの摂取によってBDNFの増加が確認されました。BDNFとは、神経細胞の維持や再生を促進するタンパク質で、脳由来神経栄養因子とも呼ばれています。BDNFには、記憶や学習、認知症などの認知機能との関係性が報告されています。
その他にも、チョコレートの摂取前後に炎症指標と酸化ストレス指標を測定したところ有意に低下する結果となっていました。BDNFは、脳やストレスに重要な栄養素ですが、加齢とともに減少していくタンパク質です。チョコレートの摂取で脳機能の促進だけでなく、ストレス軽減も期待できるでしょう。
チョコレートの食べ過ぎには注意が必要です。1日の間食は、200kcal程度が適量と言われています。とくに砂糖が多いチョコレートを食べ過ぎてしまうと肥満や糖尿病、肌荒れなどの原因となります。
200kcal程度のチョコレートの量は36gです。板チョコであれば1枚50gほどなので約3/4枚程度に相当します。チョコレート以外にも間食する場合は、36g以下にする必要もあります。ダークチョコレートやミルクチョコレートなど、砂糖やカカオの量により、カロリーと摂取量は変わってきますので注意しましょう。
チョコレートに含まれるさまざまな成分に、ストレス軽減効果があります。
ストレスによる弊害は身体的、心理的、行動的とさまざまな形で現れます。ストレスの多い現代社会では注意しなければなりません。ストレスの軽減効果を期待して必要以上に摂取してしまうと、肥満や糖尿病などの原因となってしまうため注意は必要です。適量のチョコレートを摂取し、ストレスを軽減させましょう。